弁護士ブログ
B型肝炎訴訟の証拠収集について
2020年7月31日
名古屋丸の内本部事務所 弁護士 森 正晴
B型肝炎の給付金を受けるためには,厚労省発行の手引きに記載されているいくつかの要件を満たさなければなりません。
B型肝炎の給付金を請求し,実際に給付金を受給するためには,この要件を満たすことを証明しなければなりません。
この証明に当たっては,病院で医師の検査を受けていただき,検査結果を証拠資料として裁判所に提出する必要があります。
検査結果から一概に要件を満たしているかが判断できない場合があります。
そのような場合は,弁護士の方から,医師の方へ,意見書を記載してもらうようお願いする等して,検査結果が,なぜそのようになっているのかを把握し,裁判所において主張立証していくことが求められます。この際,医師の方に漫然と意見書を書いてもらうのではなく,いつの検査結果のどのような点について意見を述べてもらいたいかを特定しなければ,裁判で使える証拠にはなり辛いです。
B型肝炎訴訟に精通した弁護士であれば,これらのことを適切に把握し,医師の方に適切な意見書を書いてもらうことができます。そうすれば,B型肝炎の給付金を受給できる対象者であるということを証明しやすくなります。
実際に私が担当していた事件でも,初めは検査結果が不透明で国側が和解に応じくれませんでしたが,上記のとおりにすることで国側が和解に応じ,給付金を受給できた事例があります。
愛知県名古屋市でB型肝炎訴訟を着手金無料で取り扱っている愛知総合法律事務所まで,お気軽にご相談ください。
給付金を受け取るまでの流れ
給付金を受け取るまでには,①証拠収集,②訴訟提起,③訴訟上の和解,④給付金の支給申請,⑤給付金の受領という流れで進みます。
弁護士に依頼していただければ,①証拠収集は,弁護士が依頼者の方と協力して行うことになりますが,②~⑤については全て弁護士が代行します。
訴訟というと身構える方もいらっしゃるかもしれませんが,名古屋地方裁判所の運用では,基本的に訴訟外において弁護士と国との間で証拠資料のやりとりを行います。そのため,テレビで見るような依頼者の方が裁判所に行って尋問を行ったり,裁判所で給付金を受けられるかにつき議論が展開されるというわけではありませんので,依頼者の方の負担はほとんどありません。
また,訴訟記録の閲覧は自由とされています(民事訴訟法91条1項)が,B型肝炎給付金訴訟はプライバシー情報を多く含むため,第三者への閲覧制限を申請します。そのため,訴訟になったからといって,他の人にB型肝炎に罹患していることが漏れることはありません。
訴訟提起から給付金を受けられるまでには,資料をどれだけ早く収集できるかにかかっています。そのため,スピードの点でも,専門家である弁護士に任せた方が望ましいと考えられます。
給付金を受けられるまでお聞きしたいことがある方は,お気軽に弊所までご相談ください。
受け取ることができる給付金額
特定B型肝炎ウイルス感染者給付金の金額は、法律で定められています。
給付金額は、感染経路にかかわらず、以下のとおりです。
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・死亡・肝がん・肝硬変(重度のもの):3600万円
※20年の除斥期間が経過した場合には、900万円
・肝硬変(軽度のもの):2500万円
※20年の除斥期間が経過した場合には、
①現在治療を受けている方等:600万円
②①以外の方:300万円
・慢性肝炎:1250万円
※20年の除斥期間が経過した場合には、
①現在治療を受けている方等:300万円
②①以外の方:150万円
・無症候性キャリア:600万円
※20年の除斥期間が経過した場合には、50万円
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なお、弁護士に依頼していた場合には、上記給付金に加えて、
各給付金額の4%の額が訴訟手当金として別途支給されます。
除斥期間(=その期間内に権利を行使しなければならないとされる期間)が経過した方については、法的請求権が消滅することを踏まえ、除斥期間を経過していない方と比較して給付金の金額が低く設定されています。
また、給付金の請求自体も、法律上、令和4年(2022年)1月12日までにしなければならないとされています(今後の法改正によっては、期限が延長される可能性があります)。
このように、給付金額は、法律で定められています。しかし、期間の経過によって、金額が低くなってしまったり、請求自体ができなくなってしまう可能性もあります。お早めに弁護士にご相談ください。
B型肝炎給付金が支給される条件について
次の条件を満たす方は,給付金を受給することができる可能性があります。
① B型肝炎ウイルスに持続感染していること
② 満7歳になるまでに集団予防接種を受けたこと
③ 昭和23年7月1日から昭和63年1月27日の間に集団予防接種を受けたこと
④ 集団予防接種以外の感染原因(母子感染や輸血など)がないこと
請求期限は令和4年(2022年)1月12日までとなっています。この日までに訴訟を提起する必要があります。 給付金対象者から母子(父子)感染している方や,給付金対象者の相続人も対象となりますので,心当たりのある方は,お早めに弁護士にご相談ください。
B型肝炎給付金とは
日本ではかつて、法律によって幼少期の集団予防接種が義務付けられていたことをご存じでしょうか。その際に、注射器等が連続使用されたことが原因で、40万人以上の人がB型肝炎(ウイルス性肝炎)に持続感染していると言われています。
このような被害が生じた原因は、予防接種に関して国の指導監督が十分でなかったことにありました。そこで、平成元年には、このような被害にあった5名の方が国に対して損害賠償請求訴訟を提起し、平成18年6月16日、最高裁は国の責任を認めるに至りました。その後、集団訴訟が提起され、裁判所の仲介の下で和解協議が進められた結果、平成23年6月には、国と原告らとの間で救済要件や金額についての基本的な合意が締結されました(「基本合意書」)。
このような経緯を経て、今後同様の訴訟を提起する方への対応も含めた全体的な解決を図るため、「特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法」が平成24年1月13日から施行されました。これを受けて、裁判上の和解等が成立した方に対し支払われるようになったのが、B型肝炎給付金です。
この法律に基づいてB型肝炎給付金を請求するためには、裁判所における訴訟の中で和解手続きを進める必要があります。法律で、令和4年1月12日が期限とされていますので、その日までに訴訟を提起する必要があります(なお、今後の法改正によっては、期限が延長される可能性があります)。
自分が給付金の対象者であるかわからない方も、まずはお気軽にご相談ください。